2003年 12月 25日
事始め
面と向かってご挨拶
事始めというと、十二月十三日にきまって祇園の舞妓(まいこ)さんが地唄舞の井上家で挨拶(あいさつ)されている姿が全国的にテレビや新聞で紹介されるので、それは京都の舞妓さんのしきたりと思っている人がけっこう多いのに驚いた。
上方ではお正月の準備に入る日で、江戸では八日とも聞くが、江戸の事始めはどんなものか全く知らない。父が亡くなってから、それらしい事を家でしなくなっていたが、桂米朝師匠に弟子入りしてからは、毎年師匠宅に一門全員が集まり、今年お世話になったお礼を申し上げ、お鏡餅(もち)をお納めして、後は大宴会となる。今年もお昼の一時に集まった。家の前には立派な門松が立ち、気分は一足早くお正月。一応お開きは三時と言う事にはなっているが始まると、「夜中の三時のこっちゃ…」と言う具合で十二時間の酒盛りなんて当たり前になってしまうから恐ろしい。集まった者皆で、いろいろ話をするのが楽しく、時間のたつのも早い。今時の奴(やつ)みたいに店からモノだけ送りつけるような真似(まね)はするな、との師匠の言葉にドキッとさせられたが、なるほど、おっしゃるとおりで、いざ面と向かってのご挨拶となるとしどろもどろになってしまう。しかし、この挨拶が大事なのであって、品物はその時に手ぶらでも失礼だから、ちょっとした心遣いがあればいい。
電話もなかった頃(ころ)は、見計らいで出掛けて行く訳で、留守なら出直す必要があったが、何事も便利になった今、多くの国民が何に繋(つな)がっていたいのか、携帯電話のメールチェックばかりしているのに、肝心の口で面と向かっての会話が出来なくなってきたように感じる。
事始めに大アナログ師匠に大きな宿題をまた一つ頂戴(ちょうだい)し、感謝。
(三林京子=女優)
三林さんのホームページのアドレスは
http://3bayashi.com
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