2003年 8月 28日
浄瑠璃と音楽教育
感じ取ろう微妙な音
大阪弁は日本の方言の中で、一番音楽的である。その証拠に、大阪弁に三味線をつけるだけで、義太夫という立派な浄瑠璃になり、世界的評価を受けている。
なぜ世界的評価を受けるのか、それは音ではないか。ドレミファソラシドとその半音しか知らない国とそうでない国では感性も思考も違う。三味線という楽器は、ドとド#の間にもっと細かい複雑な音が出て、大夫の語り口に合わせて、微妙な音を出して弾く事ができる。
明治維新以来、ピアノ的音楽教育をしてきた日本国は、音楽の教師が日本の音楽を全く知らないという世界的に珍しくも恥ずかしい結果になってしまった。やっと二十一世紀に入って、母国の音楽教育を受けられるようにはなったものの、どこから手をつけたらよいのか分からないのが、現場の教師だと察する。
私は四十歳で清元の稽古(けいこ)を始めた。きっかけは、山崎豊子作の「女系家族」で「保名」の弾き語りをする一分程のシーン。おかげで素晴らしい師匠に巡り合う事ができ、以来今日までお稽古していただいているが、音符に表せない部分がいかに難しいかを感じている。音楽はどこの国でも同じだと思うが、音楽教育は全然違う。生まれた時から義太夫を聞いて育ったはずの私に、三味線を通して改めて音楽の世界観を広げてくださった師匠に感謝したい。
今の大阪の子供たちが使う大阪弁は義太夫にならないのと同様に、東京の子供が使う江戸弁も清元にならない。義太夫から清元が生まれるまでに二百年程の時間があり、その間にクラシック音楽からジャズほどリズム感は変わったが、表現される言葉は変わってないように思う。子供は無意識にドとド#の間の何かを感じ取るはずなので、是非ともほんまもんの演奏を聞かせて欲しいと願う。(三林京子=女優)
三林さんのホームページのアドレスは
http://3bayashi.com
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